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[日経新聞] G20後の日中関係の道筋こそ重要に (2016年09月07日)

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20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた中国・杭州で5日夜、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が会談した。両首脳の対話は1年4カ月ぶり。摩擦が絶えないだけに、会談が実現したこと自体にも意義はある。

とはいえ問題はやはり中身だ。日中間には懸案が多い。沖縄県の尖閣諸島の領海と接続水域には中国海警局の公船や漁船が押し寄せ、中国海軍の艦船も接続水域に初めて現れた。危険な状態だ。

偶発的な軍事衝突を防ぐための「海空連絡メカニズム」を両首脳が取り上げたことには大きな意味がある。今後、交渉を加速し、早期に運用を始める必要がある。

南シナ海の問題では仲裁裁判所が中国の主張に根拠はないとの判決を下したが、中国は無視している。会談で安倍首相は国際法に基づく平和的、外交的な解決を率直に訴えた。国際法の重視は3日の米中首脳会談でオバマ大統領が言及したのと同じ立場である。

対して習主席は、日本が南シナ海問題をめぐる「言動を慎重にすべきだ」とくぎを刺した。日本は問題の当事者ではないと中国は主張し、この問題を盾に対日関係の改善に難色を示し、尖閣問題でも圧力をかけているのが実態だ。

中国も批准した国連海洋法条約に基づく解決は当然である。中国の主張は国際社会としては受け入れ難い。日本は米国とも連携し粘り強く再考を迫るべきだ。

世界景気を引っ張ってきた中国経済が減速するなか、経済面の日中連携も大切だ。主要閣僚が参加する日中ハイレベル経済対話を早期に日本で開くべきである。

年内には日本で日中韓3カ国の首脳会談の開催を予定している。中国からは李克強首相が就任以来はじめて来日する。来年は1972年の日中国交正常化から45周年に当たる。一連の機会も利用して、日中の摩擦をコントロールしなければならない。

このところ中国は、G20の成功を最優先し各国との摩擦を鎮めるよう振る舞ってきた。一見すると柔軟だが、実際の東シナ海、南シナ海での行動は強硬で、基本的な姿勢になんら変化はない。

G20の終了後に各国との摩擦が再び激化するようだと、習主席が日本を含めた多くの首脳らと杭州で会談した意味は薄れよう。危うさを秘める日中関係は、G20後の道筋をきちんと付けることが最も重要である。

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