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[読売新聞] 首相VS蓮舫氏 「人への投資」偏重では危うい (2016年09月29日)

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民進党の蓮舫代表が就任以来、初めて国会論戦にデビューした。

看板政策の「人への投資」に過度に偏った主張は、野党第1党の党首として、物足りなかった。

蓮舫氏は参院本会議での代表質問で、アベノミクスについて「スローガンだけは活発に循環しているが、経済はまったく好循環していない」などと批判した。

「教育、雇用、老後の不安を取り除いて初めて個人消費が動き出す。『人への投資』の強化が経済再生につながる王道だ」とも述べ、経済政策の転換を求めた。

持論の「提案」路線の一環だろう。ただ、「人への投資」は、民主党政権の「コンクリートから人へ」の焼き直しの色彩が濃い。

公共事業が悪いかのような誤解を与え、財源不足で破綻したため、「人への投資」に衣替えしたが、この方針は行き過ぎれば、バラマキにつながる恐れが大きい。

安倍首相は、アベノミクスが雇用、賃上げなどで効果を上げたと反論した。「安倍内閣は、成長と分配の好循環を作り上げる。成長の果実も生かし、子育て支援や介護離職者ゼロ、若者への投資も拡大する」とも強調した。

「人への投資」という分配政策は、低迷する個人消費を刺激し、高齢者や女性の労働力を活用して成長力を高める一定の効果は持とう。安倍政権も、「1億総活躍社会」という形で民進党の主張を取り入れているのは事実だ。

しかし、最優先課題のデフレ脱却や、財政健全化のためには、民間企業の創意工夫を政府が支援して、生産性や国際競争力を高める成長戦略の拡充が欠かせない。分配の原資の確保にも、「稼ぐ力」の強化が必要である。

蓮舫氏は、「人への投資」では様々な提案をしたが、企業を通じた成長戦略には全く言及しなかった。この点を抜本的に改善しなければ、蓮舫氏の唱える「民進党が選択される政党になる」という目標の実現は難しいだろう。

疑問なのは、蓮舫氏の質問が経済、社会保障政策に集中し、国の基本である憲法や外交・安全保障政策に触れなかったことだ。野田幹事長は前日の質問で、幅広く重要課題を網羅した。どちらが党首なのか、という感さえする。

蓮舫氏は、行政刷新相を務め、行政改革を重視してきた。外交・安保は、必ずしも得意分野ではないのかもしれない。だが、国政選での勝利を目指すのなら、もっと聞き応えのある骨太の論争を仕掛けることが求められよう。

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