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[朝日新聞] 代表質問 すれ違い埋める論戦を (2016年09月29日)

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衆参両院での代表質問に対する安倍首相の答弁は、自らが所信表明演説で呼びかけた「建設的な議論」とは言いがたい。

論点をはぐらかしたり、野党批判で切り返したり。きのうまで2日間の野党党首らとの論戦は、すれ違いが目立った。

衆参ともに与党が圧倒的多数を占める国会の力関係を、映し出しているようにも見える。

たとえば民進党の蓮舫代表は消費税引き上げ再延期を受け、介護や子育てなど社会保障政策にどう優先順位をつけるかや、実際に使える「アベノミクスの果実」の予算規模を問うた。

これに対して首相は、優先順位も金額も明確には示さず、「最大限努力する」などと、参院選での論戦をなぞるような答弁を繰り返した。

民進党の野田佳彦幹事長らはアベノミクスへの疑問をぶつけた。金融緩和に手詰まり感があることや、日銀による国債購入が限界ではないかなどと指摘。蓮舫氏も「本当に必要なのはアベノミクスそのものの検証ではないか」と追及した。

これに対し首相は、安倍政権になってからの税収増や、就労者が100万人近く増えた点などを列挙してアベノミクスの正しさを強調。「経済の好循環」を自画自賛した。

環太平洋経済連携協定(TPP)問題で、コメなどの聖域が守られていないと指摘されると、首相は「決断すべき時に決断しきれない過去の轍(てつ)は踏まない」と、与党時代に交渉参加に踏み切らなかった旧民主党を皮肉るような態度で応酬。中身の議論にほとんど立ち入ろうとはしなかった。

違憲の疑いが指摘されている安全保障法制をめぐっては、共産党の志位和夫委員長が、首相が所信表明演説で触れなかった点を問うた。

首相は7月の参院選で法案の意義を訴え、圧勝したなどと答えつつ、「国民の信認を得ることができた」と切り返した。

質問1回、答弁1回の代表質問では論点を絞り込み、議論を深めるのは難しい。それでも、今国会で与野党が論じ合うべきテーマは見えてきた。

まずは事業規模28兆円の補正予算案の中身、TPP承認や関連法案の是非、アベノミクスの検証、具体的な運用に動き出そうとしている安保法制についても十分な議論が欠かせない。

あすにも衆院予算委員会で一問一答形式の議論が始まる。

与党が数の力で押し切るのではなく、野党ともできる限り共通の基盤をつくる。真の意味での「建設的な議論」を望む。

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