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[読売新聞] 日銀短観横ばい 好循環に欠かせぬ企業の元気 (2016年10月05日)

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景気回復は足踏みを続けているが、一気に落ち込む状況でもない。

企業は、先行きを不安視するばかりでなく、前向きな投資に目を向けることが求められよう。

日銀が、9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。大企業・製造業の景況感は6月の前回調査と変わらず、2四半期連続で横ばいだった。非製造業は小幅ながら3四半期連続で悪化した。

さえない動きが続く消費や海外経済の不透明感から、収益悪化の不安を払拭できないのだろう。

最も気をもむのは、円高だ。

今回の短観で、企業が2016年度の事業計画の前提として想定している円相場は、平均で1ドル=107円92銭だった。

6月時点から4円近く円高方向へ修正されたが、それでも、現在の水準は、想定よりさらに6円ほど円高となっている。

16年度の売上高、経常利益の計画は前年度を下回る。円高が定着すれば、輸出企業を中心に収益が一段と圧迫される懸念がある。

だが、企業収益は、ここ数年、過去最高水準を続けており、内部留保も潤沢に抱えている。

短観から読み取れるのは、将来の様々なリスクを警戒するあまり、大胆な行動に踏み切れていない企業の姿である。

雇用に関する判断では、人手不足感の強まりが示された。

大企業、中小企業を問わず、雇用が「不足」と感じる企業が「過剰」とする企業を上回り、その割合は6月より拡大している。

本来なら、企業はもっと大胆に賃上げに動いても良いはずだ。現状は、そうなっていない。

固定費が増えて将来、経営の足かせになるのを恐れているのだろうが、賃金の増加は消費底上げにつながり、企業にとってもプラスになるのではないか。

設備も同様である。短観は、バブル崩壊やリーマン・ショックを経て、企業を悩ませてきた設備の過剰感が、すでに解消したことを裏付けている。非製造業では、わずかに不足感も生じている。

しかし、大企業の設備投資計画は前年度より増えてはいても、6月からの上積みは小幅だ。事業展開を見据えた新設備より、老朽施設の更新が主体となっている。

低金利政策で、企業の資金繰りや借り入れは楽になった。この機会をもっと生かすべきだろう。

企業の活性化が、賃金・雇用の増加を促し、消費につながる。そうした好循環を実現するには、企業の積極性が欠かせない。

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