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[朝日新聞] 政務活動費 使途をガラス張りに (2016年10月13日)

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地方議員の政務活動費について情報公開請求した人の情報が、議会事務局を通じて議員に筒抜けになる。こんな事態が次々に明らかになっている。

朝日新聞の調査では、都道府県、政令指定市、県庁所在市、東京23区の計121議会のうち山形、富山、金沢、川崎、和歌山、鳥取、北九州の7市議会で情報漏洩(ろうえい)が確認された。

個人情報を第三者に提供するのは、個人情報保護の観点から許されない。総務省が「不適切」と判断し、注意喚起の通知を全国に出したのは当然だ。

情報公開制度は、今や市民が情報を得るために使う大切な「ツール」だ。内容によっては、名前が漏れれば圧力がかかる可能性があり、市民団体も萎縮効果を懸念する。各議会は情報公開制度の趣旨を再認識し、再発防止を徹底すべきだ。

深刻なのは請求の事実が議員に伝わることで、不正が隠蔽(いんぺい)される恐れもあることだ。

富山市では、白紙領収書で不正請求を繰り返していた元市議が、情報公開請求の動きを議会事務局から聞いた後、白紙領収書を提供した業者とばれないよう口裏合わせをしていた。

金沢市では事務局の職員が議員らの会議で、政活費について記者が公開請求していることを伝えた。その後、政活費の支出を修正する市議が相次いだ。

もちろん公開の準備のため、事前に議員に確認する必要があるケースもあるだろう。しかしこれでは、不正隠しに手を貸したと言われても仕方がない。

議会事務局員の多くは、自治体の首長部局の出身だ。いずれ首長部局に戻るため、議員と波風を立てたくない。そんな意識になりがちだともいう。不正を隠したい議員と、事務局員のもたれ合いのような構図からは、市民に奉仕すべき立場の責任感はうかがえない。

7市議会に共通するのは、領収書をネット公開していないことだ。そもそも収支報告書も領収書も、常時公開すれば今回のような問題は起きない。

先月、都道府県庁所在市と東京23区の計69市区の議会について朝日新聞が調べたところ、領収書までネットで公開しているのは1割未満だった。5割近い議会は情報公開請求の手続きが必要で、窓口へ行ってもすぐには閲覧さえできない。

政活費の原資は税金だ。繰り返し指摘していることだが、いつでも誰でもチェックできるネット公開を原則にし、議員への支払いは後払いで、証拠資料の添付を義務づける。全国の議会は即刻、取り組んでほしい。

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