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[読売新聞] 北部訓練場返還 翁長氏はなぜ歓迎しないのか (2016年10月14日)

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沖縄にとって、「目に見える形」での大規模な基地負担の軽減になる。着実に進めたい。

菅官房長官が、沖縄県内最大の米軍施設である北部訓練場の一部の年内返還を目指す方針を表明した。翁長雄志知事との会談で伝えた。

返還は、1996年の日米沖縄施設・区域特別行動委員会(SACO)合意に基づくものだ。輸送機オスプレイなどが使うヘリコプター着陸帯6か所の存続区域への移設を条件に、約7500ヘクタールのうち約4000ヘクタールが返還される。

政府は、着陸帯の整備工事の完了時期を当初想定していた今年度中から12月中に前倒ししたい考えだ。返還が実現すれば、県内の米軍施設の総面積が2割も削減される。その意味は大きい。

周辺の森林地域は9月、「やんばる国立公園」に指定された。将来的には、返還区域の編入が見込まれている。観光などによる地域振興の弾みともなろう。

問題なのは、着陸帯整備やオスプレイ使用への反対派が違法行為を続けていることだ。

県道に車を止め、工事車両の通行を阻む。訓練場内に不法侵入し、着陸帯整備のための樹木伐採作業を妨害する。沖縄防衛局職員が暴行され、負傷した例もある。

一般市民も、現地の道路を通れないなどの迷惑を被っている。授業に遅れた小学校教諭もいる。反対派には県内外から集まった活動家らが少なくない。地元住民が批判するのはもっともだ。

警察当局は全国から機動隊員を動員して対処している。先月中旬には、県道を違法に封鎖したとして、反対派2人を往来妨害容疑で現行犯逮捕した。法治国家として適切な取り締まりを求めたい。

翁長氏の当事者意識を欠いた、場当たり的な言動も疑問だ。

翁長氏は菅氏との会談後、訓練場の一部返還について「歓迎する」と語った。ところが、共産党などが反発すると、一転して「発言は不適切だった」と釈明した。

翁長氏はこれまでも、県道管理者でありながら、車両撤去などに消極姿勢を取り続けてきた。日頃、沖縄への米軍基地集中を強く批判しながら、なぜ広大な施設の返還に協力しようとしないのか。

地元の国頭、東両村は、早期返還を求めている。訓練場の周辺住民の大半も、騒音対策などの条件付きで着陸帯整備を容認する。

こうした「民意」を踏まえ、負担軽減策の実現を政府任せにせずに、自ら汗をかくことこそが、知事の責務のはずだ。

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