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[産経新聞] 【主張】大停電 都市インフラの再点検を (2016年10月14日)

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東京都内で起きた大規模停電事故は、暮らしや産業を支える都市インフラの脆弱(ぜいじゃく)性を改めて浮き彫りにした。

電力供給が一時的でも途絶えると、社会や経済活動に深刻な影響を与える。これを担う公益企業として、東京電力の責任も厳しく問われる。

停電を引き起こした送電線の火災をめぐり、原因の徹底究明と再発防止が欠かせない。送電ケーブルの老朽化が原因だった可能性があり、経済産業相が早期の点検を求めたのは当然だ。再発防止のためにも、老朽部分の改修を急ぐ必要がある。

火災が起きた送電ケーブルは地下に埋められ、埼玉県から都内の変電所を結ぶ中枢系統だった。35年前に敷設され、これまで交換はされていなかった。

ケーブル自体も油と絶縁紙を使用する旧型だった。老朽部分以外でも計画的に新式に切り替えるなどの工事が不可欠である。

電力の供給が比較的短時間で復旧したのは、電力系統の多重化を進めてきたからだ。

停電時間は短かったが、それでも都内各所で官庁などの業務が停止し、信号機も数百カ所で作動しなくなった。病院では手術を延期するなどの影響も出た。生命にかかわるような被害が確認されなかったのは幸いといえる。

停電に陥った中央省庁の自家発電導入を含め、バックアップ機能を高めて不測の事態に対応できる態勢を整えなくてはならない。

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今回の停電事故を教訓に、改めて都市インフラ全体の点検と改善に取り組まねばならない。

東電は今年4月の電力小売りの自由化に合わせ、送電ケーブルなどを管理・運営する送配電部門を分社化して東電パワーグリッド(PG)を発足させた。

改正電気事業法で平成32年度に実施されることが決まっている発送電分離を見越したものだが、東電PGは新電力に切り替えた顧客の電力データを消失させる問題も起こしている。

東電は福島第1原発事故に伴う賠償や除染、そして廃炉費用などの政府支援を要請している。電力の安定供給という最大の役割を果たせないならば、支援を求める資格はない。

他の大手電力も32年度までに発送電を分離する。この仕組みが電力供給に影響を与えることはないのか。再検証の必要がある。

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