Quantcast
Channel: 新聞社説まとめサイト
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

[読売新聞] TPP審議再開 早期承認で自由貿易加速せよ (2016年10月15日)

$
0
0
環太平洋経済連携協定(TPP)承認案の国会審議が始まった。

貿易立国の日本は、参加12か国の承認の先陣を切ることで、TPP発効の機運を高めたい。

石原TPP相は衆院特別委員会で、協定の意義を「巨大市場を作って経済圏を構築する。新たな成長が期待できる」と語った。「21世紀型の貿易ルールを作るのがポイントだ」とも強調した。

TPPは関税の撤廃・削減だけではない。知的財産の保護強化や労働・環境の規制改革など、多岐にわたる。コンビニやスーパーの外資規制を緩和する国もある。

発効すれば、この高水準の貿易・投資ルールが次代の国際標準となる可能性が大きい。各国の保護主義の高まりを抑え、自由貿易を加速させることに寄与しよう。

重要なのは、TPP経済圏の拡大が見込まれることだ。

韓国の周亨煥産業通商資源相は10日、経団連の訪韓団に対し、TPP参加の意向を表明した。フィリピン、インドネシア、タイなども参加に関心を示している。

岸田外相が特別委で「TPPの戦略的価値を示すものだ」と指摘したのは適切である。

将来、中国を新しい経済秩序に取り込み、国際ルールの順守を迫る。そのためにも、まずはTPPの早期発効が欠かせない。

外国産米が公表価格より安く国内で流通していた問題について、山本農相は「国産米価格への影響はない」と明言している。輸入商社が卸業者に払う「調整金」と呼ばれるリベートは禁止した。

TPPが発効すれば外国産米の輸入が増える。農家が不安を持つ不透明な商慣行を正すのは当然である。ただ、輸入米市場は国産米に比べ極端に小さい。野党がTPPの影響試算のやり直しまで求めているのは行き過ぎだろう。

TPP承認案は、先の通常国会に提出され、継続審議になっていた。与党は、10月中の衆院通過を目指している。条約は、衆院の議決から30日間で自然承認されるため、11月30日までの今国会中の承認が確定するためだ。

TPP慎重論が広がる米国に批准を促すためにも、政府・与党が承認を急ぐのは理解できる。

民進党は、外国産米の流通実態の農林水産省調査が不十分だ、などと主張し、審議を進めることに消極的な姿勢を示している。

しかし、政府の対応に問題があるのなら、審議を停滞させるのではなく、特別委での質疑で追及するのが筋だろう。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

Latest Images

Trending Articles