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[毎日新聞] スーチー氏来日 国造りの意欲伝わった (2016年11月04日)

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ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相が来日した。スーチー氏が実質的に率いる民主政権が3月に発足してから初の来日だ。

建国の父アウンサン将軍の娘で、長年にわたって民主化闘争の象徴だった人物だ。日本滞在中も、民主的な国造りへの意欲を見せた。

2日に会談した安倍晋三首相には「ミャンマーは歴史的な新しい一ページを刻んでいる」と述べた。首相は、両国関係を「飛躍的に発展させたい」と語り、インフラの整備や少数民族との和解への支援などを表明した。

ミャンマー経済は軍事政権下で最貧国水準に転落したが、2011年の民政移管を契機に年7?8%成長を続ける。5000万人超の人口と豊富な天然資源を持つ「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれ、現地の日系企業は300社を超えた。

インフラ整備などは、日本企業のビジネス環境向上にもつながる。日本とミャンマー双方に利益となるうえ、経済の発展は民主政権の安定にも寄与するはずだ。

一方、ミャンマーでは1948年の独立以来、人口の7割弱を占めるビルマ族主導の国軍と少数民族の内戦が続いている。持続的な発展を遂げるためには、この問題の解決が不可欠となる。

民主政権の下では今夏、まだ停戦に合意できていない少数民族武装勢力を含む政治対話が始まっている。具体的な成果につながることを期待したい。

スーチー氏は今年8月、東南アジア諸国連合(ASEAN)域外への初の外遊として中国を訪問した。最大の貿易相手国であるとともに、停戦に応じていない中国系少数民族に影響力を持つ中国との関係を重視しているようだ。

一方でスーチー氏は、特定の1カ国との関係を突出させない「全方位外交」を目指すと表明している。民主政権の下で発展を続けていくためには、中国だけに偏るのではなく、日本や米国との良好な関係も重要だという判断だろう。

スーチー氏は政権発足後、現実主義的な政治家としての顔を見せるようになった。バランスの取れた内外政策で民主的なミャンマーの将来を切り開いていってほしい。

日本には、軍事政権に弾圧されてミャンマーから逃れ、日本で民主化闘争を支援してきた人が多く住んでいる。スーチー氏は、在日ミャンマー人たちに「一生懸命働いてミャンマーを尊敬される国にしよう」と呼びかけた。

スーチー氏が信頼を寄せるパートナーとして、日本が果たすべき役割は大きい。

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