Quantcast
Channel: 新聞社説まとめサイト
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

[東京新聞] 朴大統領窮地 韓国政治の病根は深い (2016年11月04日)

$
0
0
韓国の朴槿恵大統領が最大の窮地を迎えた。親友の女性が国政や人事にまで介入していた問題が浮上したからだ。国民からは大統領退陣や、野党も参加した挙国一致内閣を求める声が広がる。

政権ナンバー2の首相が交代し、行政を統括する大統領首席秘書官十人が辞表を提出した。国政はまひ状態だ。

震源地は朴大統領の四十年来の親友、崔順実容疑者。職権乱用の疑いなどで検察に逮捕された。

崔容疑者が設立に関わった二つのスポーツ、文化振興財団に財界から資金が提供されたが、青瓦台(大統領府)から圧力があった。秘書官らが大統領との親密さを忖度(そんたく)して動いたとの疑いがある。

深刻なのは、大統領が民間人である崔容疑者に対し、演説文の草稿を見せて感想を求めたり、高官人事や外交についても意見を聞くなど、機密漏えいの疑いまで浮上したことだ。

朴大統領は保守本流で、実力がある政治家や専門家をスタッフに集めたはずだが、実は宗教家の娘である崔容疑者に頼っていた。大統領のやり方は独断的な権威主義で、民主政治とはほど遠いと、国民に怒りと失望が広がる。韓国政治の病根は深い。

大統領は首席秘書官らとの意思疎通を欠くと批判されてきたが、閣僚から「執務報告では複数が立ち会ったが、一対一で会ったことはない」との証言も飛び出した。

国民の不満は頂点に達し、政権支持率は10%を割るものも。国会による大統領弾劾の決議や、首相に権限を大幅に委譲する「首相責任制」導入などが浮上しているが、収拾の方向は見えない。

北朝鮮はミサイル発射を強行して揺さぶる動きを見せている。偶発的衝突に発展しないよう韓国は米国とも連携し、朝鮮半島の安全に最善を尽くしてほしい。日韓両政府が合意した元慰安婦への支援を着実に進める必要がある。年内には日中韓首脳会談が日本で開かれる予定だが、混乱が続くようだと朴大統領の訪日も難しくなろう。

過去四代の大統領の場合、兄や息子たちが不正資金を受け取り逮捕された。政治家や経済人が大統領の強い権限を利用しようと、親族に接近したからだ。朴大統領は妹、弟を公邸に出入りさせず距離を置き、クリーンさが売り物のはずだったが、親友だけは特別扱いにした。

韓国の政治風土の悪弊がまた、噴き出してしまった。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

Trending Articles