今後数十年にわたり問われ続ける取り組みの第一歩である。
先進国や新興国、途上国の別なく、地球温暖化問題にこぞって対処していく。その大枠を定めたパリ協定が発効した。
温暖化対策は、政府任せではすまない。企業の活動から地域や家庭での取り組み、さらには個人の生き方まで、温室効果ガスの削減を意識した変革を進められるか。協定発効は歴史の大きな転換点であることを認識しなければならない。
急速な温暖化は海面上昇による低地の浸水や喪失、巨大台風や干ばつなど極端な気象現象と災害の増大、大凶作などのリスクを高める。寒冷地での耕作が可能になるといった恩恵もあるが、負の側面がはるかに大きく、貧しい国や人々ほど苦境に陥るとみられている。
人の活動と温暖化、自然の異変との関係が完全に解明されたわけではない。だが、温暖化が原因ではと疑われる被害が相次ぐなかで、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を急ごうと決めたのがパリ協定である。
産業革命からの気温上昇を2度より低く抑えるため、今世紀後半にガスの排出を森林などによる吸収と均衡させて実質ゼロにする。目標は野心的だが、各国の自主削減に頼り、未達成でも罰則はない。そもそも、各国が今の計画を達成しても「2度より低く」の目標に届かない。
協定の発効で立ち止まらず、それをはずみとして、石炭や石油など化石燃料の大量消費に依存する経済や社会を全面的に変えていくことが不可欠だ。
兆しはある。経済成長とともに増えてきたエネルギー消費が一部の先進国で頭打ちや減少に転じ、成長と省エネの両立は可能だと証明されつつある。
世界的にみると石炭産業への投資が細り、再生可能エネルギーをはじめ温暖化対策に役立つ産業への投資が増えるなど、お金の流れも変わってきた。大きな変革を伴う「脱炭素社会」へ向かう道にこそビジネスの機会はあるとの意識が広がる。
日本は政府が協定締結を優先せず、国会承認が発効にも間に合わなかった。出遅れは決定的だ。政府や産業界には温暖化対策に伴うコスト増への警戒感が強いが、国際潮流を見誤れば、内外の市場で日本企業が競争力を失うことになりかねない。
ここは発想の転換が必要だ。政府や企業を動かすためにも、カギを握るのは一人ひとりの市民だろう。地球を後世に引き継ぐ責任を思い、家庭や職場、地域でできることを考え、実行する。その覚悟が問われている。
先進国や新興国、途上国の別なく、地球温暖化問題にこぞって対処していく。その大枠を定めたパリ協定が発効した。
温暖化対策は、政府任せではすまない。企業の活動から地域や家庭での取り組み、さらには個人の生き方まで、温室効果ガスの削減を意識した変革を進められるか。協定発効は歴史の大きな転換点であることを認識しなければならない。
急速な温暖化は海面上昇による低地の浸水や喪失、巨大台風や干ばつなど極端な気象現象と災害の増大、大凶作などのリスクを高める。寒冷地での耕作が可能になるといった恩恵もあるが、負の側面がはるかに大きく、貧しい国や人々ほど苦境に陥るとみられている。
人の活動と温暖化、自然の異変との関係が完全に解明されたわけではない。だが、温暖化が原因ではと疑われる被害が相次ぐなかで、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を急ごうと決めたのがパリ協定である。
産業革命からの気温上昇を2度より低く抑えるため、今世紀後半にガスの排出を森林などによる吸収と均衡させて実質ゼロにする。目標は野心的だが、各国の自主削減に頼り、未達成でも罰則はない。そもそも、各国が今の計画を達成しても「2度より低く」の目標に届かない。
協定の発効で立ち止まらず、それをはずみとして、石炭や石油など化石燃料の大量消費に依存する経済や社会を全面的に変えていくことが不可欠だ。
兆しはある。経済成長とともに増えてきたエネルギー消費が一部の先進国で頭打ちや減少に転じ、成長と省エネの両立は可能だと証明されつつある。
世界的にみると石炭産業への投資が細り、再生可能エネルギーをはじめ温暖化対策に役立つ産業への投資が増えるなど、お金の流れも変わってきた。大きな変革を伴う「脱炭素社会」へ向かう道にこそビジネスの機会はあるとの意識が広がる。
日本は政府が協定締結を優先せず、国会承認が発効にも間に合わなかった。出遅れは決定的だ。政府や産業界には温暖化対策に伴うコスト増への警戒感が強いが、国際潮流を見誤れば、内外の市場で日本企業が競争力を失うことになりかねない。
ここは発想の転換が必要だ。政府や企業を動かすためにも、カギを握るのは一人ひとりの市民だろう。地球を後世に引き継ぐ責任を思い、家庭や職場、地域でできることを考え、実行する。その覚悟が問われている。