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[日経新聞] 中韓との関係修復への努力を続けたい (2015年11月02日)

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実におよそ3年半ぶりの開催である。過去のあつれきをすべて水に流し、直ちに関係修復とはいかないのは当然だが、それでも中国、韓国と日本の間の溝を多少は埋められたのではないか。

安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領による日中韓首脳会談がソウルで開かれた。

日中韓は2008年から3カ国の持ち回りで首脳会談を毎年開いてきたが、12年5月を最後に開催されていなかった。日本政府による尖閣諸島の国有化、竹島(韓国名は独島)の領有権や歴史問題などで日中、日韓関係が悪化したためだ。この間に中韓は、蜜月ともいえる良好な関係を築いた。

その意味で今回の会談は、日本が中韓との距離をどれだけ縮め、より均衡のとれた3カ国関係に近づけられるかが焦点だったといえる。会談では日中韓が東アジアの平和と繁栄に向けて協力する重要性を確認し、首脳会談を再び定例化することで合意した。

来年は日本が議長国を務める。朴大統領、李首相は就任後に一度も来日しておらず、3カ国首脳会談が初来日の機会になる可能性もある。中韓との関係正常化に向けた一歩といえるだろう。

北朝鮮の核問題では非核化への具体的な行動を促し、意味のある6カ国協議の再開に向けて連携することで一致した。経済面ではとくに日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉の加速を打ち出した。

中韓はすでに2国間のFTA交渉を妥結済みだ。両国はこれまで日中韓の交渉にはさほど乗り気でなかったが、日米が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意に達したことで、風向きが変わったようだ。

日本政府としても安全保障や経済など互いに関心の高い分野の協力を深めることで、中韓との関係修復への努力を続けてほしい。

会談後の共同記者発表では、朴大統領、李首相がともに「歴史を直視する」という文言を強調し、歴史問題で日本にクギを刺す場面があった。一方で中国への配慮だろうか。米国と中国の間で緊張が高まる南シナ海情勢など、論争になりかねない案件は日中韓会談の議題にならなかったという。

李首相は「政治的な相互信頼を高めたい」という。そうであれば、互いの懸念も胸襟を開いて語り合うことこそ、真の信頼醸成への近道ではないだろうか。

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