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[東京新聞] 日中韓首脳会談 修復の流れはできたが (2015年11月02日)

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日中韓首脳会談がほぼ三年半ぶりにソウルで開かれ、三カ国の協力体制を強めることを確認した。歴史問題や安保に慎重に対応しながら、経済や環境など、国境を越えるテーマで連携を深めたい。

日本、中国、韓国の三首脳は会談後の共同宣言で、会談を定例化し、来年は日本で開催することを明らかにした。関係の修復、さらに改善を目指す流れと枠組みはできたと、評価できる。

安倍晋三首相は八月に戦後七十年談話を発表してから初めて、中国の李克強首相、韓国の朴槿恵大統領と会談した。三首脳は「歴史を直視し、未来に向かうという精神」をもとに、諸課題に適切に対処することを確認した。

会談後の共同記者会見で李首相は、歴史という敏感な問題に対応してこそ協力が進むとの見解を示し、日本側をけん制したが、「歴史を直視」してどう対応するかは当然、各国で異なる。

東アジアでは、日本の安保関連法成立、中国の南シナ海進出と米艦船の巡視活動、さらに米韓による高高度防衛ミサイル(THAAD)構想など、安全保障をめぐる情勢は複雑になっている。

日中韓の首脳は、歴史問題でこれ以上の関係悪化を招かないよう重ねて確認すべきだ。今後は二国間での対話で、安保を含めた粘り強い取り組みが求められる。

会談では日中韓の自由貿易協定(FTA)の交渉加速に努力すると一致した。三カ国の国内総生産(GDP)の合計は、全世界の約二割を占める。

中国と韓国は参加していない環太平洋連携協定(TPP)が合意したことを受け、日本との経済協定を推進する必要性に迫られたとの見方もある。ただ、中国はTPPとは別に、自国主導の国際的な経済の枠組みをつくろうとしており、FTA協議が順調に進むかは不透明だ。

北朝鮮が非核化の道を進むよう促し、六カ国協議の再開を目指すことでも合意したが、核開発中止を強く求める内容ではなかった。中国が十月に共産党高官を訪朝させるなど、北朝鮮との関係改善を模索している事情を反映したとみられる。

「一衣帯水」である日本と中国、韓国は大気汚染や風水害など環境と防災面で協力すべき事案が多い。最近は円安の影響もあり、中韓からの観光客が増えている。首脳会談をきっかけに、各国の担当閣僚による会議をいっそう活発にする必要がある。

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