ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げをめぐる議論が大詰めを迎えている。
自民党は6月、預入限度額を現在の1千万円から段階的に3千万円まで上げるよう提言した。これを受け、政府の郵政民営化委員会がその是非を議論している。
持ち株会社である日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の計3社は11月に株式を上場した。
日本郵政はゆうちょ銀とかんぽ生命への出資比率を段階的に50%程度まで下げ、将来は保有株すべてを売却する方針だ。
しかし、こうした完全民営化の道筋が整わず、政府関与が残る間に、郵貯の限度額を引き上げるのは問題だ、とわたしたちは主張してきた。民営化委は限度額上げを容認する拙速を避けてほしい。
ゆうちょ銀の運用資産は約200兆円と、メガバンクを大きく上回る。政府の信用を背景にゆうちょ銀が貯金をさらに増やせば、民間との公平な競争を妨げる。
ゆうちょ銀の資産運用にも大きな影響を与えかねない。国債中心の運用から、外国債券や株式などへの分散投資を進めているが、運用資産がいたずらに大きくなれば、リスク管理が難しくなる。
日本郵政自らも貯金の「量」の拡大から運用収益などの「質」重視へと転じている。当事者ですら限度額上げを求めていない事実を重く受け止めるべきではないか。
自民党の提言の背景には、来年の参院選をにらみ、全国郵便局長会の集票力に期待している事情があるとみられる。
地方では民間金融機関の店舗整理が進み、徒歩圏の金融機関が郵便局だけというところが増えているのは事実だろう。過疎地への配慮はもちろん必要だ。
まずは、郵便局が民間金融機関の代理店となるなど、郵貯を補完する金融サービスを提供しやすくするのが筋ではないか。こうした手順を踏まずに、一足飛びに郵貯肥大化につながる限度額上げまで突き進むのは慎むべきだ。
自民党は6月、預入限度額を現在の1千万円から段階的に3千万円まで上げるよう提言した。これを受け、政府の郵政民営化委員会がその是非を議論している。
持ち株会社である日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の計3社は11月に株式を上場した。
日本郵政はゆうちょ銀とかんぽ生命への出資比率を段階的に50%程度まで下げ、将来は保有株すべてを売却する方針だ。
しかし、こうした完全民営化の道筋が整わず、政府関与が残る間に、郵貯の限度額を引き上げるのは問題だ、とわたしたちは主張してきた。民営化委は限度額上げを容認する拙速を避けてほしい。
ゆうちょ銀の運用資産は約200兆円と、メガバンクを大きく上回る。政府の信用を背景にゆうちょ銀が貯金をさらに増やせば、民間との公平な競争を妨げる。
ゆうちょ銀の資産運用にも大きな影響を与えかねない。国債中心の運用から、外国債券や株式などへの分散投資を進めているが、運用資産がいたずらに大きくなれば、リスク管理が難しくなる。
日本郵政自らも貯金の「量」の拡大から運用収益などの「質」重視へと転じている。当事者ですら限度額上げを求めていない事実を重く受け止めるべきではないか。
自民党の提言の背景には、来年の参院選をにらみ、全国郵便局長会の集票力に期待している事情があるとみられる。
地方では民間金融機関の店舗整理が進み、徒歩圏の金融機関が郵便局だけというところが増えているのは事実だろう。過疎地への配慮はもちろん必要だ。
まずは、郵便局が民間金融機関の代理店となるなど、郵貯を補完する金融サービスを提供しやすくするのが筋ではないか。こうした手順を踏まずに、一足飛びに郵貯肥大化につながる限度額上げまで突き進むのは慎むべきだ。