中国が原子力発電所の建設を加速している。安全性は確保されているのか。不安を拭えない。
世界原子力協会によると、中国で運転中の原発は30基に上る。43基を有しながら再稼働が進まない日本を除くと、米国、フランス、ロシアに次ぎ、実質4位の原発国だ。
習近平政権は、さらなる増設を計画している。石炭火力発電に伴う深刻な大気汚染や、エネルギー需要の増大に対応するためだ。
現地の報道では、来年以降5年間は年6?8基を増設し、2030年には、米国の99基を上回る110基にまで増やす方針だ。
問題なのは、原発に関する情報が極めて少ないことだ。
中国の原発は、1994年から運転を開始し、その後、急ピッチで増設が進んできた。
ただし、規制基準の詳細は公表されておらず、安全確保策の現状には不明な点が多い。放射能漏れや事故故障などのトラブルが公式に開示された例は少ない。
情報が乏しいと、不安は増幅する。日本政府は、情報収集を強化する必要がある。
中国からは、偏西風に乗って黄砂や大気汚染物質が飛来する。深刻な原発事故が起これば、日本に甚大な影響が及ぶ恐れがある。
沿岸部に原発が偏在している現状は軽視できない。中国政府は、東京電力福島第一原発の事故以降、内陸部での原発建設を制限している。事故時に国内に影響が及ぶのを警戒しているのだろう。
元々、中国の原発は独自技術に乏しい。欧米や日本の技術を導入し、組み合わせたものだ。日本は原子炉の圧力容器など、中核となる部品を供給している。
近年は輸出攻勢が目立つ。習国家主席が10月に訪英した際には、仏の原子炉を改良した中国炉「華竜1号」を建設することで、キャメロン英首相と合意した。
英国はかつて、原発の先進国だったが、増設がストップし、技術力が衰退した。建設費が安く、増設で経験を積む中国に頼らざるを得なかったと言えよう。
中国はパキスタンでも、華竜1号を建設中だ。南米やアフリカ諸国にも売り込みを図っている。
華竜1号は、おひざ元の中国でも建設の途上だ。運転実績のない原子炉が世界を席巻しつつある現状には、問題が多い。
日本にとっても、原発はインフラ輸出の柱の一つだ。技術力をさらに向上させ、実績を積み重ねることが重要である。国内での新増設も検討せねばならない。
世界原子力協会によると、中国で運転中の原発は30基に上る。43基を有しながら再稼働が進まない日本を除くと、米国、フランス、ロシアに次ぎ、実質4位の原発国だ。
習近平政権は、さらなる増設を計画している。石炭火力発電に伴う深刻な大気汚染や、エネルギー需要の増大に対応するためだ。
現地の報道では、来年以降5年間は年6?8基を増設し、2030年には、米国の99基を上回る110基にまで増やす方針だ。
問題なのは、原発に関する情報が極めて少ないことだ。
中国の原発は、1994年から運転を開始し、その後、急ピッチで増設が進んできた。
ただし、規制基準の詳細は公表されておらず、安全確保策の現状には不明な点が多い。放射能漏れや事故故障などのトラブルが公式に開示された例は少ない。
情報が乏しいと、不安は増幅する。日本政府は、情報収集を強化する必要がある。
中国からは、偏西風に乗って黄砂や大気汚染物質が飛来する。深刻な原発事故が起これば、日本に甚大な影響が及ぶ恐れがある。
沿岸部に原発が偏在している現状は軽視できない。中国政府は、東京電力福島第一原発の事故以降、内陸部での原発建設を制限している。事故時に国内に影響が及ぶのを警戒しているのだろう。
元々、中国の原発は独自技術に乏しい。欧米や日本の技術を導入し、組み合わせたものだ。日本は原子炉の圧力容器など、中核となる部品を供給している。
近年は輸出攻勢が目立つ。習国家主席が10月に訪英した際には、仏の原子炉を改良した中国炉「華竜1号」を建設することで、キャメロン英首相と合意した。
英国はかつて、原発の先進国だったが、増設がストップし、技術力が衰退した。建設費が安く、増設で経験を積む中国に頼らざるを得なかったと言えよう。
中国はパキスタンでも、華竜1号を建設中だ。南米やアフリカ諸国にも売り込みを図っている。
華竜1号は、おひざ元の中国でも建設の途上だ。運転実績のない原子炉が世界を席巻しつつある現状には、問題が多い。
日本にとっても、原発はインフラ輸出の柱の一つだ。技術力をさらに向上させ、実績を積み重ねることが重要である。国内での新増設も検討せねばならない。