北朝鮮が、「人工衛星」打ち上げと称する長距離弾道ミサイルの発射実験や、4度目となる核実験を強行する構えを相次いで示唆している。
来月10日に迎える朝鮮労働党創建70周年の記念日にあわせ、外交分野で何ら成果を出せていない金正恩(キムジョンウン)政権は、力を誇示することで国内の結束を図りたいのだろう。
だが核・ミサイルといった軍事的挑発は、北朝鮮にとって失うものしかない愚策だ。
日本や韓国との間で何とかつなげた対話を進め、さらに他の国々との協議も進めていくことでしか実利を得られないと悟るべきである。
北朝鮮は、衛星の打ち上げは宇宙の平和利用であり、主権国家に等しく認められた権利だと主張する。だが、たとえ衛星を載せていようと、それを運ぶロケット打ち上げの技術は基本的に弾道ミサイルと同じだ。
国連安保理決議は北朝鮮に対し、弾道ミサイルだけでなく、その技術を使った発射も禁じており、明確な決議違反となる。
核実験に関しては、米国が北朝鮮への敵視政策をやめないことを理由に正当性を訴える。もし北朝鮮が米国から敵視されたくないのなら、大前提となるのは核の放棄以外にありえない。
国際社会の反対を押し切って過去に3度の核実験をした北朝鮮は、自らを「核保有国」だと言い張るが、それを認める主要国はない。
ちょうど10年前、日米中ロと南北朝鮮による6者協議は、1カ月以上の休会を間にはさむという異例のマラソン交渉の末に共同声明を出した。
声明で北朝鮮は、すべての核兵器や核計画の放棄に加え、核不拡散条約(NPT)への早期復帰を約束した。それに対する事実上の見返りは、実に盛りだくさんだった。
米国が北朝鮮を攻撃しない約束や、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するための協議。日朝、米朝国交正常化に向けた措置。北朝鮮へのエネルギー支援……。いずれも北朝鮮が渇望してきたものばかりだった。
声明は故・金正日(キムジョンイル)総書記が決断した遺訓でもある。金正恩氏は危うい瀬戸際戦術をまねるのではなく、共同声明をよく読み返し、何が国のためになるのか考えてみるべきだ。
6者協議は中断して7年近くになる。北朝鮮に向き合う5カ国の側も、金正恩氏に改めて共同声明の価値を諭す手立てを練るべきだ。今週のワシントンでの米中首脳会談でも、真剣な議題となるよう望む。
来月10日に迎える朝鮮労働党創建70周年の記念日にあわせ、外交分野で何ら成果を出せていない金正恩(キムジョンウン)政権は、力を誇示することで国内の結束を図りたいのだろう。
だが核・ミサイルといった軍事的挑発は、北朝鮮にとって失うものしかない愚策だ。
日本や韓国との間で何とかつなげた対話を進め、さらに他の国々との協議も進めていくことでしか実利を得られないと悟るべきである。
北朝鮮は、衛星の打ち上げは宇宙の平和利用であり、主権国家に等しく認められた権利だと主張する。だが、たとえ衛星を載せていようと、それを運ぶロケット打ち上げの技術は基本的に弾道ミサイルと同じだ。
国連安保理決議は北朝鮮に対し、弾道ミサイルだけでなく、その技術を使った発射も禁じており、明確な決議違反となる。
核実験に関しては、米国が北朝鮮への敵視政策をやめないことを理由に正当性を訴える。もし北朝鮮が米国から敵視されたくないのなら、大前提となるのは核の放棄以外にありえない。
国際社会の反対を押し切って過去に3度の核実験をした北朝鮮は、自らを「核保有国」だと言い張るが、それを認める主要国はない。
ちょうど10年前、日米中ロと南北朝鮮による6者協議は、1カ月以上の休会を間にはさむという異例のマラソン交渉の末に共同声明を出した。
声明で北朝鮮は、すべての核兵器や核計画の放棄に加え、核不拡散条約(NPT)への早期復帰を約束した。それに対する事実上の見返りは、実に盛りだくさんだった。
米国が北朝鮮を攻撃しない約束や、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するための協議。日朝、米朝国交正常化に向けた措置。北朝鮮へのエネルギー支援……。いずれも北朝鮮が渇望してきたものばかりだった。
声明は故・金正日(キムジョンイル)総書記が決断した遺訓でもある。金正恩氏は危うい瀬戸際戦術をまねるのではなく、共同声明をよく読み返し、何が国のためになるのか考えてみるべきだ。
6者協議は中断して7年近くになる。北朝鮮に向き合う5カ国の側も、金正恩氏に改めて共同声明の価値を諭す手立てを練るべきだ。今週のワシントンでの米中首脳会談でも、真剣な議題となるよう望む。