シリア内戦の終結を目指す和平協議が、始まってから1週間足らずで中断した。協議の間も軍事的な攻勢を強めるアサド政権に反体制派が反発したためだ。
協議を仲介する国連特使は今月下旬の再開を目指しているが、情勢は不透明だ。
中東の混迷を解きほぐすにはまず、シリア内戦の終結が欠かせない。和平の機運を潰してはならない。内戦の当事者はもちろん、それぞれの勢力の背後にいる関係国が歩み寄ることが重要だ。
協議は2、3週間の対話を繰り返し、6カ月程度で結論を得る予定だった。米国やロシアなど関係国は昨年、アサド政権と反体制派が協議を通して移行政権を樹立し、その後、民主選挙を実施する行程表で合意した。その一歩になると期待された和平協議が早々に中断に追い込まれたのは残念だ。
反体制派は協議参加にあたり、アサド政権や政権を支援するロシアによる空爆の停止と、反体制派の支配地域の封鎖解除を求めていた。しかし、政権は逆に攻勢を強め、数万人の難民がトルコとの国境に押し寄せる事態になった。
政権側に和平協議を有利に運ぶため、少しでも支配地域を奪い返す思惑があるのだとすれば問題だ。国連によると、政権に包囲された15地域の40万人に食料や医療などの支援が届いていない。
和平協議は2014年に決裂して以降、開かれてこなかった。その間、難民は増え続け、過激派組織「イスラム国」(IS)のテロは国境を越えて広がった。国際社会はシリア内戦を放置したツケの重さを思い知らされたはずだ。
攻勢を強める政権軍とロシアに対し、反体制派を支援するサウジアラビアなどからは地上軍の派遣を主張する声もあがる。そうなれば、和平どころか、一層の泥沼にはまりこむだけだ。
シリア内戦では25万人が死亡し、国民の半分が住む家を追われた。悲劇を終わらせるには米ロなど関係国が連携して和平協議を後押しすることが不可欠である。
協議を仲介する国連特使は今月下旬の再開を目指しているが、情勢は不透明だ。
中東の混迷を解きほぐすにはまず、シリア内戦の終結が欠かせない。和平の機運を潰してはならない。内戦の当事者はもちろん、それぞれの勢力の背後にいる関係国が歩み寄ることが重要だ。
協議は2、3週間の対話を繰り返し、6カ月程度で結論を得る予定だった。米国やロシアなど関係国は昨年、アサド政権と反体制派が協議を通して移行政権を樹立し、その後、民主選挙を実施する行程表で合意した。その一歩になると期待された和平協議が早々に中断に追い込まれたのは残念だ。
反体制派は協議参加にあたり、アサド政権や政権を支援するロシアによる空爆の停止と、反体制派の支配地域の封鎖解除を求めていた。しかし、政権は逆に攻勢を強め、数万人の難民がトルコとの国境に押し寄せる事態になった。
政権側に和平協議を有利に運ぶため、少しでも支配地域を奪い返す思惑があるのだとすれば問題だ。国連によると、政権に包囲された15地域の40万人に食料や医療などの支援が届いていない。
和平協議は2014年に決裂して以降、開かれてこなかった。その間、難民は増え続け、過激派組織「イスラム国」(IS)のテロは国境を越えて広がった。国際社会はシリア内戦を放置したツケの重さを思い知らされたはずだ。
攻勢を強める政権軍とロシアに対し、反体制派を支援するサウジアラビアなどからは地上軍の派遣を主張する声もあがる。そうなれば、和平どころか、一層の泥沼にはまりこむだけだ。
シリア内戦では25万人が死亡し、国民の半分が住む家を追われた。悲劇を終わらせるには米ロなど関係国が連携して和平協議を後押しすることが不可欠である。