がん患者の卵巣を治療で傷む前に取りだして凍結保存し、後で解かして体内に戻す。こんな方法で出産に成功する例が海外で増え、日本でも複数の計画がある。病気のために子をあきらめざるを得ない人が減ると期待され、安全性を重視しつつ普及させてほしい。
乳がんなどを抗がん剤や放射線で治療すると、卵巣が悪影響を受け出産できなくなる恐れがある。事前に卵子を取りだして凍結保存する方法もあるが、排卵を待たねばならず治療の遅れにつながる。
卵巣なら時間をかけずに摘出でき、体内に戻してから卵子が得られる。極低温で冷凍し、後から解かして使う技術の進歩によって、機能を損なわずに凍結保存できるようになったのは朗報だ。
世界で約80人が生まれ、凍結が原因の出産時の異常は知られていない。国内でがん患者がこの方法で出産した報告はないが、聖マリアンナ医科大学病院や、浦安市の研究助成を受けている順天堂大学浦安病院が実施をめざす。
不妊治療クリニックでも高性能の冷凍設備を備え、他の医療機関で摘出した卵巣の凍結も引き受ける計画が進む。遠くからでも低温輸送できる態勢を整え普及を後押しするというが、卵巣の輸送時に不具合が起きないかなどを慎重に見極めなければならない。
凍結保存は治療期間によっては何年にも及ぶとみられるが、クリニックが閉鎖した場合などの対応を決めておく必要がある。出産後は、健康に成長するか長期にわたる追跡調査が欠かせない。
患者の卵巣にがん細胞が潜んでいて解凍、移植後に再発するリスクがないかなどの丁寧な説明もいる。日本癌治療学会は凍結保存に関する指針を作成中だが、日本産科婦人科学会などと連携してデータを集め安全性を高めてほしい。
今後、病気ではないが、若いうちに卵巣を凍結し将来の好みの時期に解かして使いたいという人も出てくるだろう。どこまで利用を広げるかは、がん患者での結果をみながら慎重に判断すべきだ。
乳がんなどを抗がん剤や放射線で治療すると、卵巣が悪影響を受け出産できなくなる恐れがある。事前に卵子を取りだして凍結保存する方法もあるが、排卵を待たねばならず治療の遅れにつながる。
卵巣なら時間をかけずに摘出でき、体内に戻してから卵子が得られる。極低温で冷凍し、後から解かして使う技術の進歩によって、機能を損なわずに凍結保存できるようになったのは朗報だ。
世界で約80人が生まれ、凍結が原因の出産時の異常は知られていない。国内でがん患者がこの方法で出産した報告はないが、聖マリアンナ医科大学病院や、浦安市の研究助成を受けている順天堂大学浦安病院が実施をめざす。
不妊治療クリニックでも高性能の冷凍設備を備え、他の医療機関で摘出した卵巣の凍結も引き受ける計画が進む。遠くからでも低温輸送できる態勢を整え普及を後押しするというが、卵巣の輸送時に不具合が起きないかなどを慎重に見極めなければならない。
凍結保存は治療期間によっては何年にも及ぶとみられるが、クリニックが閉鎖した場合などの対応を決めておく必要がある。出産後は、健康に成長するか長期にわたる追跡調査が欠かせない。
患者の卵巣にがん細胞が潜んでいて解凍、移植後に再発するリスクがないかなどの丁寧な説明もいる。日本癌治療学会は凍結保存に関する指針を作成中だが、日本産科婦人科学会などと連携してデータを集め安全性を高めてほしい。
今後、病気ではないが、若いうちに卵巣を凍結し将来の好みの時期に解かして使いたいという人も出てくるだろう。どこまで利用を広げるかは、がん患者での結果をみながら慎重に判断すべきだ。