企業経営はどうあるべきか−その再検討を促す企業統治指針が導入されて一年。東芝や三菱自動車の不正だけでなく、格差拡大や先進国経済の行き詰まりも企業のあり方を厳しく問い直している。
東京証券取引所と金融庁が、上場企業が守るべき原則として示した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が適用されたのは二〇一五年六月。外部の視点で経営を監視する社外取締役の選任や情報公開、株主との対話の充実などを求めた。
その結果、東証一部で二人以上の社外取締役を置く企業は八割に。かつては上場企業のほとんどが同じ日に開いていた株主総会も、分散化が定着して株主が出席しやすくなり、表面的には一定の効果を示しつつある。
ただその一方で、歴代三社長の刑事責任が問われた東芝の不正会計や、三菱自動車の燃費不正など事件が相次いで発覚した。ほかにもセブン&アイ・ホールディングス(HD)のトップ交代劇、石油元売りの出光興産と昭和シェル石油との合併問題など、企業経営や経営者のあり方が株主や関連業界だけでなく、注目を集めている。
東芝の場合、五人の社外取締役で構成する指名委員会が新経営陣を選出し、三菱は日産の傘下で再出発する。どのように経営を刷新していくのか、具体的なケースとして注目していきたい。
企業経営に見直しと刷新を迫るもうひとつの視点、格差にも触れておきたい。
指摘されるように、産業資本の所有者が富を独占していた戦前から、大戦を経て戦後は先進各国で経済格差が縮まり、日本でも高度成長で格差が縮小した。
だが、一九八〇年代後半から特に米英で急速に格差は拡大する。多くの議論があるが「株式会社は株主のもの」という株主主権が強まり、株価を上げた経営者が巨額の報酬を手にする米英型の資本主義が原因とも指摘されている。
格差の拡大は先進各国で経済、社会、政治の不安定化を招き、より大きな局面で株式会社のあり方、会社は誰のものかが問われている。
長期不況で崩れ始めているとはいえ、戦後の日本では会社は経営者、従業員、地域社会など多くの利害関係者のものという意識が根強い。格差は広がりつつあるが、役員報酬は全体として過大とはいえない水準にとどまっている。
企業経営はどうあるべきか。経営者の知恵が問われている。
東京証券取引所と金融庁が、上場企業が守るべき原則として示した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が適用されたのは二〇一五年六月。外部の視点で経営を監視する社外取締役の選任や情報公開、株主との対話の充実などを求めた。
その結果、東証一部で二人以上の社外取締役を置く企業は八割に。かつては上場企業のほとんどが同じ日に開いていた株主総会も、分散化が定着して株主が出席しやすくなり、表面的には一定の効果を示しつつある。
ただその一方で、歴代三社長の刑事責任が問われた東芝の不正会計や、三菱自動車の燃費不正など事件が相次いで発覚した。ほかにもセブン&アイ・ホールディングス(HD)のトップ交代劇、石油元売りの出光興産と昭和シェル石油との合併問題など、企業経営や経営者のあり方が株主や関連業界だけでなく、注目を集めている。
東芝の場合、五人の社外取締役で構成する指名委員会が新経営陣を選出し、三菱は日産の傘下で再出発する。どのように経営を刷新していくのか、具体的なケースとして注目していきたい。
企業経営に見直しと刷新を迫るもうひとつの視点、格差にも触れておきたい。
指摘されるように、産業資本の所有者が富を独占していた戦前から、大戦を経て戦後は先進各国で経済格差が縮まり、日本でも高度成長で格差が縮小した。
だが、一九八〇年代後半から特に米英で急速に格差は拡大する。多くの議論があるが「株式会社は株主のもの」という株主主権が強まり、株価を上げた経営者が巨額の報酬を手にする米英型の資本主義が原因とも指摘されている。
格差の拡大は先進各国で経済、社会、政治の不安定化を招き、より大きな局面で株式会社のあり方、会社は誰のものかが問われている。
長期不況で崩れ始めているとはいえ、戦後の日本では会社は経営者、従業員、地域社会など多くの利害関係者のものという意識が根強い。格差は広がりつつあるが、役員報酬は全体として過大とはいえない水準にとどまっている。
企業経営はどうあるべきか。経営者の知恵が問われている。