新たな貿易や投資のルールを上手に活用し、海外事業を拡大したい。日本にも、ビジネス戦略の再構築が求められる。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で大筋合意した「ルール分野」の詳細を、政府が公表した。新興国が金融や小売業などで外国企業の参入規制を緩和するほか、知的財産権の保護体制を強化することが柱だ。
共通ルールが参加12か国に適用されれば、公正で透明な経済取引が確保される。世界の国内総生産(GDP)の4割に及ぶ巨大市場で、企業が安心して海外に進出できるようになる意義は大きい。
ベトナムやマレーシアは、外国の銀行やコンビニエンスストアの出店規制を一部撤廃する。堅調な需要の伸びが見込まれる新興国での事業展開に、日本企業がさらに力を注ぐ好機としたい。
新薬開発のデータ保護期間は実質8年とする。著作権の保護は作者の死後70年に統一する。日本など多くの国は現在、50年だ。
現在は知財の保護が不十分な新興国に新ルールが導入されれば、日本製の新薬やアニメなどを売り込みやすくなるはずだ。
協定は、域内各国が、ソフトウェアの機密情報に当たる「ソースコード」の開示を、進出した外国企業に求めることも禁じた。
中国は、外国企業にソースコードの開示を一方的に強要し、米国などの強い反発を招いている。
TPPが、進出先国による恣意(しい)的な外資規制や国有企業優遇策の制限をルール化したことは、TPP交渉に参加していない中国を間接的に牽制(けんせい)する効果を持とう。
新ルールの利点を有効活用するには、政府の対応も重要となる。企業の海外進出への実効性ある支援策を講じねばならない。
特に、外国での事業経験やノウハウに乏しい中小企業を後押しする具体策が問われる。
参加国が公共事業の入札を外国企業に開放することも、合意に盛り込まれた。鉄道や道路など社会資本(インフラ)整備事業を日本企業が受注するには、政府間交渉で相手国のニーズをつかむなど、官民連携の強化が大切だ。
国内には一時、TPPに参加すると、外資の参入で国民皆保険制度が崩れたり、安全性に劣る食品が輸入されたりするとの懸念もあった。しかし、合意によって、日本の保険制度や食品安全基準を見直す必要は生じていない。
政府は、合意内容や交渉経緯を関係者に丁寧に説明し、不安や誤解を解消すべきである。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で大筋合意した「ルール分野」の詳細を、政府が公表した。新興国が金融や小売業などで外国企業の参入規制を緩和するほか、知的財産権の保護体制を強化することが柱だ。
共通ルールが参加12か国に適用されれば、公正で透明な経済取引が確保される。世界の国内総生産(GDP)の4割に及ぶ巨大市場で、企業が安心して海外に進出できるようになる意義は大きい。
ベトナムやマレーシアは、外国の銀行やコンビニエンスストアの出店規制を一部撤廃する。堅調な需要の伸びが見込まれる新興国での事業展開に、日本企業がさらに力を注ぐ好機としたい。
新薬開発のデータ保護期間は実質8年とする。著作権の保護は作者の死後70年に統一する。日本など多くの国は現在、50年だ。
現在は知財の保護が不十分な新興国に新ルールが導入されれば、日本製の新薬やアニメなどを売り込みやすくなるはずだ。
協定は、域内各国が、ソフトウェアの機密情報に当たる「ソースコード」の開示を、進出した外国企業に求めることも禁じた。
中国は、外国企業にソースコードの開示を一方的に強要し、米国などの強い反発を招いている。
TPPが、進出先国による恣意(しい)的な外資規制や国有企業優遇策の制限をルール化したことは、TPP交渉に参加していない中国を間接的に牽制(けんせい)する効果を持とう。
新ルールの利点を有効活用するには、政府の対応も重要となる。企業の海外進出への実効性ある支援策を講じねばならない。
特に、外国での事業経験やノウハウに乏しい中小企業を後押しする具体策が問われる。
参加国が公共事業の入札を外国企業に開放することも、合意に盛り込まれた。鉄道や道路など社会資本(インフラ)整備事業を日本企業が受注するには、政府間交渉で相手国のニーズをつかむなど、官民連携の強化が大切だ。
国内には一時、TPPに参加すると、外資の参入で国民皆保険制度が崩れたり、安全性に劣る食品が輸入されたりするとの懸念もあった。しかし、合意によって、日本の保険制度や食品安全基準を見直す必要は生じていない。
政府は、合意内容や交渉経緯を関係者に丁寧に説明し、不安や誤解を解消すべきである。